アイツが生きていたら 〜カゾクを下さい〜
『アイツが生きていたら 〜カゾクを下さい〜』
作詞作曲/衛藤文敬 作RAP/西尾洋平
信号の変わり際 特に急ぐ理由もなく
折り鶴は紐を解き 白線の内を飛ぶ
ドアノブに括られた ぬいぐるみ安らかに
ピアノが買えないから 糞みたいなラブソング
覚えてはいないだろう? 3〜4年前の嘘
覚えていられないだろう 5〜6分後の会話も
菓子パンを吐き出して 缶ビール潰したよ
地下鉄のカナリヤは 段ボール濡らしたよ
家族を下さい
無差別に落とされたリンゴ8個を抱えて
手を結んだ父と娘が 互いの陰影を踏み合っている
沈黙のヘッドフォン 別に直す当てもなく
新曲を口ずさむ 草むらに火を放て
鉄塔が傾いて べっこう飴が砕け溶けて
天国の電線が 夜を手繰り寄せる
水族館へ行こう 花火大会も行こう
夢の国だって行こう プラネタリウムで眠ろう
家族を下さい
アイツが生きていたら アイツが生きていたら
アイツが生きていたら アイツが生きていたら
アイツが生きていたら アイツが生きていたら
アイツが生きていたら アイツが生きていたら
アイツが生きていたら アイツが生きていたら
アイツが生きていたら
アイツが生きていたら アイツが生きていたら
アイツが生きていたら
全身の皮を剥ぐような途方途轍もない悲しみをも愛し
日当り良好 緩和病棟 渡り廊下 ハグをしようか
100年に一度 記録的大寒波 あの日の朝みたいに
大胆な秘密 会いたいな 君に
歩く 座る 喋る 走る 食べる 踊る 逃げる
冷める 捨てる ブレる 落ちる 澱む 閉じる 歌う 逃げる
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
先日、いつも利用している最寄り駅の3番線のホームに唾と5円玉が落ちていました。そのすぐ脇の排水溝には清掃員のおばちゃんに箒で掃かれる未来を、ただじっと待ちあぐむカナブンの死骸があって、一昨日からあって、一瞬の気の迷いもあって、滑り来る急行電車に鼻歌混じりで乗り込みました。たしか6両目だったと記憶しています。なぜか幼少期に観ていたTVアニメのエンディングテーマが、昨夜から頭の中をずうっと支配していたのです。良いご縁がありますように、と。
凶器は持っていませんでした。
本日は晴天のせいか人身事故による運転の見合わせもなく、約束の17時には渋谷駅に着けそうだと、相変わらず自分の都合ばかり心配していました。空いている優先席には座らず ドア付近に立ち、沿線の建物と植物と洗濯物のトライアングルに目を回しながら、どうかしながら、一生涯日陰を強いられたクローバーの葉の枚数について、朝食の腐りかけのバナナと愛情たっぷりのレトルトカレーの食べ合わせについて、実名も性癖も知らない通行人Aの責任能力の有無について、あなたの優しさとズルさと病状について、考えていました。
狂気は、もう持っていませんでした。
誕生日おめでとう 誕生日おめでとう
RAP
《 ダンサー志望のいなたい少年 早朝5時 銀行の鏡揺らし やがて 祖母のお手製の麦茶 飲み干し ラッシュに溶けていく
基本のモーション 既読と混同 日本の情緒 未読の構想 束の間の休息 床の間の掛軸 雨粒と柑橘 おさがりの憂鬱
午後のひだまりをバケットが満たす ワンコみたいねって笑いあえたよ 未来も少しはあたたまる いやしかしは常につきまとう
海辺のスープにバケットを浸す 塩っ辛いねって笑いあえたよ 未来も少しはあたたまる いやしかしは更につきまとう
本を読もう 漫画読もう 回り回って 引きこもろう バンドしよう 散歩しよう 埃はらって街へでよう 》
アイツが生きていたら アイツが生きていたら
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
アイツが生きていたら
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
慟哭と饒舌の間で 限りなく呪いに近い祈りを
信号の変わり際 特に急ぐ理由もなく
折り鶴は紐を解き 白線の外を飛ぶ
幸せでしたか? くだらない質問ね
幸せでしたか? もう分かってるくせに